産後ラボ ママのための応援団

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カンガルーケアの効果は?危険な事故もあるって本当?

今回は産後すぐに行う病院や産院もあるという『カンガルーケア』について正しい認識や情報を正しく知ってもらうためのコラムです。

今回の記事でカンガルーケアについての正しい認識を持ってもらって、カンガルーケアを行うか行わないかの判断材料にして頂ければ幸いです。

カンガルーケアと新生児

カンガルーケアの効果とその裏に潜む危険性

カンガルーケアとは、生まれて来たばかりの新生児の赤ちゃんをママの胸の中で抱っこさせ、乳首を吸わせることで母乳分泌の助けになったり、母子関係の形成に役立つと言われている医療行為です。

もともとは南米コロンビアで1979年に新生児ケアにあたっていた2人の医師が始めたのがカンガルーケアのきっかけ。では、なぜこのようなケアが必要だったのかというと、当時深刻な経済危機に見舞われていたコロンビアでは、新生児の数に必要なだけの産院や医師、保育器の数などが確保できなかったという事情があったためだそうです。

つまり、医療も充分ではなく決して先進国とは言えないコロンビアの国内事情もあってのことだったのがカンガルーケアだったということですね。

カンガルーケアの効果やメリットは?

先ほどカンガルーケアとは南米のコロンビアで始まった医療行為と言いました。

日本では、新生児医療は確立されているため、主に予定日よりも早く出産した早期産の赤ちゃんや正期産でも低体重出生児に対してのケアとして行われてきました。

ですが、近年では母子関係の絆を形成することに非常に役立つということや、出産直後で疲弊しているママの精神状態を安定させるなどのメリットがあることからカンガルーケアを実施する産院も増え始めているとのことです。

カンガルーケアのメリットは?

カンガルーケアのメリットをまとめてみると次のようなものになります。

 

  • 母子関係における絆の形成
  • お産直後の母体の安定と安静に効果的
  • 授乳ホルモン(オキシトシンやプロラクチン)の分泌に役立つ(あくまでも説で効果として実証されているわけではありません)
  • 赤ちゃんの体温安定と母乳を求める意欲の形成
  • ママの胸に抱かれることでお腹にいた時のような安心感が生まれる
  • ママの側にも親としての自覚が芽生える助けになる

このようなメリットがあると言われていることからカンガルーケアを実施する産院が少しずつ増えてきているというのが現状のようです。また、実際にカンガルーケアを体験したママさんからの『赤ちゃんとのつながりが実感できて良かった』といった声もカンガルーケアを実施する産院が増えていることの後押しになっているようです。

ただし、カンガルーケアについては実際に事故が起こっているという実例もあり、そのため現在では日本でカンガルーケアを行う産院については『カンガルーケアワーキンググループ』が設定したガイドラインに従って実施することが推奨されています。

 

カンガルーケアの危険性と事故の実例と現在

先ほど軽く触れましたが、カンガルーケアには実際に悲しい医療事故が起こった実例もあります。2009年の12月に長崎のある個人産院で起こった『こうたろうくん』の低酸素脳症による意識不明事故とその後の死など実際にカンガルーケアで起こった事故が全国区のニュースや新聞で報道されたこともあります。

こうたろうくんの身に何が起こったのかを少し整理してお伝えしておくと

産後すぐに両親に対してカンガルーケアについての説明が何もないまま『赤ちゃんを抱いていて欲しい』と病院側から伝えられ赤ちゃん(こうたろうくん)が母の胸に預けられました。最初の数分は、母の胸に吸いつくように置かれたこともあって母乳を吸おうとしていたこうたろうくんでしたが、それから程なくしてすぐに手足の緊張がなくなりピクリともしない状態になったそうです。

それから母親は何回もその場にいた若い助産師に『こんな状態で大丈夫なのか』と尋ねたのですが、助産師はこうたろうくんの様子を見ようともせずに『生まれたばかりの赤ちゃんはこんなものですよ』と言って、まるでこうたろうくんはただ寝ているだけのような対応をしていたそうです。しかしながら、その後こうたろうくんの手足が冷たくなってきていることに気付いた母親が『こんなのはどう考えてもおかしい!ちゃんと診てください』と問いただしたところで『こうたろうくんが呼吸をしていない』ということが分かり、そのまますぐに救急車が呼ばれ救急搬送されました。

その救急搬送先で『もっと早く蘇生処置が行われていればこんな状態にはならなかった』と告げられた両親が『これが医療ミスであったことがはっきりと分かった』というのがこの事故例の大まかな出来事です。

こういったことの流れがあり自宅に戻ってからもこうたろうくんは自発呼吸が出来ない容態が続き、2011年2月15日にたったの1年2ヶ月の短い生涯の幕を閉じました。

ここでご紹介した『こうたろうくんの事例』以外にも日本国内で16例ものカンガルーケアでの新生児の低酸素脳症やその後の死亡例があります。

こういったことが問題となって日本医療機能評価機構が『カンガルーケアワーキングループ』を結成して『カンガルーケアガイドライン』が策定されています。

カンガルーケアの問題点

 

カンガルーケアの問題点はたくさんの論点がありますが、これを分かりやすくシンプルにまとめてみると次のようなものになるかと思います。

  • カンガルーケアの説明がされず実施されたケースが事故につながっている
  • カンガルーケアが実施される際に監視体制が整っていないと処置が遅れる
  • 母親の胸の中にいるから安心という慢心が病院側にもあるケースも
  • 生まれて間もない新生児は母乳を吸う力も不充分ということが理解されていない
  • 母乳を吸えない新生児に対して栄養補給の手段が充分に取られていないケースもある
  • カンガルーケアを行う部屋の室温や衣服など体温維持の手段が充分に取られていない
  • もし少しでも新生児に異常が見られたらすぐに中断させるということが徹底されていない場合もある

また、新生児を出産したばかりの母親も含めて新生児医療の知識などあるわけもなく、そういった両親に対して十分な説明がなされずにカンガルーケアを勧めてくる病院もあるということで、その場合はやはり断った方が良いでしょう。

先ほどご紹介したこうたろうくんのケース以外にもカンガルーケアによる事故例が16件もあり、カンガルーケアガイドラインが制定されているにも関わらず、それに従った適切な対応もないままにカンガルーケアを行った場合に悲しい事故が起こるケースもあり、それが遠い昔の話ではなく、たった数年前の出来事なのだということを知識として入れて知っておいた上でカンガルーケアを取り入れるかどうかどうかという判断ができるようにしておくことが大切です。