エストロゲンは、プロゲステロンと同様で私たち女性にとって非常に大切な女性ホルモンの1つです。
そんなエストロゲンは、出産をきっかけにプロゲステロンと共に分泌量が激減します。
これは身体の仕組み上である程度は仕方のないことなのですが、この点を改善することが出来ないわけではありません。
エストロゲンの働きとしては美容に関連が深いイメージがある方も多いと思いますが、実はエストロゲンの分泌量が減ることで疲れやすくなったり、産後クライシスとも呼ばれる『産後うつ』や『育児ノイローゼ』とも関係があります。
つまり、女性の場合はエストロゲンが減ると『美容上良くないだけでなく心身ともに健康でいられなくなる傾向がある』ということなんですね。
そこで、今回は産後ママがエストロゲンの分泌量を増やす方法や補給できる方法はないのかといったことをご紹介すると同時に産後のママが自然な働きでエストロゲン量が増える時期やエストロゲン量が増えることのメリット、減ることによるデメリットなど女性だからこそ知っておいて欲しい正しい知識をまとめました。
エストロゲンってなに?
エストロゲンは、女性にとっては大切なホルモン物質で、その真反対に近い働きをするプロゲステロン(黄体ホルモン)も分泌されており、両方の分泌バランスによって生理周期や基礎体温の上下、精神的なバイオリズムなどがコントロールされています。
プロゲステロンは水分を体内に保持したり、自律神経の働きを乱したりすることもあります。そのため、生理が近づくと精神的なつらさや具体的な下腹部の痛みなどの症状をともなった『PMS(生理前症候群)』と呼ばれる現象に悩まされる方もたくさんおられます。
ですが、その一方で妊娠中は胎盤を子宮内壁に安定して定着させたり、子宮収縮を起こさないようにするためといった『安全に妊娠状態を維持するため』にも分泌されているため一概に『プロゲステロン=悪者』ということは出来ません。
つまり、エストロゲンが分泌されるべきタイミングではしっかり分泌されるようにすることが大切で、産後の場合は生理再開のタイミングを早めたりすることもできるんですよ。
エストロゲン分泌の仕組みと少なくなる悪習慣
エストロゲンは、別名『卵胞ホルモン』とも呼ばれています。
脳の視床下部から下垂体を刺激する別のホルモンが分泌されることにより、下垂体そのものが反応し、卵胞刺激ホルモンが分泌されて行きます。
この流れを経て、それに対して卵巣が反応します。
すると、卵巣の中に眠っている卵胞のうち、およそ10個~20個程度が成長し始めます。
このようにして卵胞の成長が行われると、すくすくと育っていった卵胞からエストロゲンが分泌されて行きます。
これが卵巣でエストロゲンが分泌される仕組みです。
また、エストロゲンの元となる成分は善玉コレステロール(HDLコレステロール)です。
もしも過度な断食ダイエットでコレステロールが低下すると、女性らしさを作り出しているエストロゲンが作られにくくなるため、体全体で様々な悪影響が出ます。
そんな女性ホルモンは産後に一気に減少してしまうんですね。
産後はエストロゲンが一気に減少する
先ほども書いたように、産後はエストロゲン量が減る傾向にあります。
その一方、妊娠中にはエストロゲンの分泌が盛んに行なわれていました。
その理由は、乳腺を発達させ産後の時期に赤ちゃんに母乳を与える準備をするためです。
しかしながら、産後は母乳の分泌を促す『プロラクチン』というホルモンが優先的になり、エストロゲン分泌量が減って行きます。その理由は完全に分かってはいませんが、エストロゲンの分泌量が多いままだと母乳の生産量が減り、赤ちゃんに充分な母乳を与えることができなくなるためと言われています。
また、産後すぐの産褥期から産後半年間程度の間は骨盤の開きでお産をスムーズに行えるようにするリラキシンや母乳生産や分泌を促すプロラクチンやオキシトシンの分泌量が増えるなどの『女性ホルモンの分泌バランスが激変する時期』にあたります。
産後にエストロゲンが減るとどんなトラブルが起こる?
先程の段落で話したように、エストロゲンの減少などで産後にホルモンバランスが乱れてしまうことで、心と体にさまざまな不調が現れます。
産後にエストロゲン量が減ることによって考えられるやデメリットは次の通りです。
- 精神的不安定やうつ症状
- 疲れやすくなる
- 更年期障害
- 抜け毛、薄毛等の髪の毛トラブル
- 手足、顔などのむくみ
- 骨粗しょう症のリスク
- 太りやすく痩せにくい身体になる
- 肌が荒れる、乾燥肌や敏感肌の原因になる
その中でも、産後に最も影響を受けると言われているのが抜け毛です。
産後の抜け毛は妊娠前や通常時にストレスを感じたりすることで悩まされる抜け毛とは少し様子が違っています。というのも先輩ママの体験談を見てみると子供が卒乳してから抜け毛が減ったという意見もあり、そんな事ならもっと早く卒乳したかったという意見もあるんです。
これは、産後の抜け毛の原因のすべてではないにしても大きな要因の一つでかなりのウェイトを占めているのがエストロゲン量の減少が関わっていることの現れと言えると思います。
産後にエストロゲンが増えるのはいつ?
結論から言うと、産後にエストロゲンが増える時期は人それぞれ変わってきます。
というのも、エストロゲンを含めた女性ホルモンは母乳の分泌を妨げてしまう働きがあるため、出産後は母乳のためにエストロゲンの分泌量が低下します。
なので、完全母乳育児をされる方であれば一般的に卒乳の時期まで生理が再開しないことが多く、それに伴ってエストロゲンの分泌もそのくらいの時期まで低下します。
逆に産後の生理再開が産後3ヶ月後4ヶ月後に来る方もいらっしゃいます。
生理再開と同時に女性ホルモンのバランスも元に戻ってきた気がするという方も多く、まさに人それぞれなんです。
また、この女性ホルモンのバランスは産後の性欲にも大きく関係してくるようで、中には性欲で女性ホルモンのバランスを判断する方もいらっしゃるようです。
このように人によって時期に違いがあるため、確実にこれ。と言うわけではありませんが、産後の生理再開を目安にしてみるといいかもしれませんね。
産後に簡単にできるエストロゲンを増加させる方法
産後に効率よく簡単にエストロゲンを増加させる方法は、意外とたくさんあります。
ここでは良く一般的に言われる5つの方法をご紹介したいと思います。
日光を味方につけてエストロゲンを増加
エストロゲンは日光を浴びると分泌が刺激によって増加することが分かっています。
中でも朝日を浴びることで一番効率よくエストロゲン量が増えると言われており、その意味では毎日、朝日をカーテンを開けてあびることは効果的と言えそうです。
出産後から半年間くらいの期間は生まれたばかりの赤ちゃんもおっぱいやミルクを飲んで少し眠ってはまた起きて欲しがるといった具合で、長くても2~3時間おきに授乳が必要になる時期です。個人差はありますがこういった時期にエストロゲンを増やす手段としてはお金も掛かりませんしおすすめな方法ですね。
女性ホルモンの元となる栄養素を積極的に取り入れる
女性ホルモンを作り出すためには元となる材料が必要です。
そのために1番重要なのは、ページの冒頭でも軽く触れましたが、善玉コレステロールを摂取することです。
善玉コレステロールは、海藻類や卵、白子、白身魚といったような食べ物に多く含まれていますので、こういったものを積極的にとっていきましょう。
他には例えば、たくさんのビタミンを含むような緑黄色野菜を多めに取ったり、食事のスタイルは和食を中心にするなど、それに合う健康的なおかずもプラスしていきます。
特に、このページのテーマであるエストロゲンに似たような働きを持つと言われている成分が大豆イソフラボンです。
大豆イソフラボンは和食にぴったりなので、豆腐や納豆などはできるだけ毎日接していきたいところです。(授乳中の過剰摂取は危険です。詳細はこの後詳しくお伝えします。)
ここで勘違いしてはいけないのは、揚げ物や塩分または脂肪分が多いような食事と言うのはエストロゲンの分泌を低下させてしまうことになるので、過剰な摂取は避けていきたいところです。
軽い運動を行なう
産後は体調が1ヵ月ほどで大体は回復してきます。
そこでストレッチや簡単な体操などから初めて体の血行を良くしていきます。
血の流れと言うのは非常に大事です。
ストイックに行わなくても良いので、天気が良くて気分が乗った時などはウォーキングを兼ねて赤ちゃんと一緒にお散歩するのも良いですね。
女性ホルモンに効果的なサプリメントを使う
現代では産後の栄養補給アイテムが非常に充実しています。
普段の食事では、エストロゲンの分泌を助けるような食事をとり続けるのはなかなか難しい場合があります。
そういった場合はサプリメントに頼るのも効果的です。
準備もいらないですし、ただ粒を飲むだけなのでどれだけ忙しい方でも簡単にできます。
また、美白効果、美肌効果があるとして大変注目を集めているプラセンタや健康作用の高いイソフラボンなどホルモン合成の働きを助けて促進してくれるような亜鉛、さらにビタミンやアミノ酸等を豊富に含むもザクロエキス良いです。
中でもザクロエキスと言うものは、イソフラボンと同様にエストロゲンと似た働きがあるためこれもまたお勧めです。
それだけではなく出産後のバストアップ効果も期待できるそうですよ♪
ネットでザクロサプリやイソフラボンサプリなどを検索するのもありですが、大き目のドラッグストアなどにいくと、大抵の場合はザクロサプリやイソフラボンサプリなどが販売されています。
※ただし、サプリメントは数ヶ月の継続をしなければ、身体の変化を実感できない場合がほとんどです。それをわかった上で財布と相談することも継続する為には大切です。
積極的にスキンシップを取る
子供が生まれるとなかなか恋人同士のような関係になれないのが夫婦です。
ですがテレビを見ているときに肩によっかかってみたり、外出する際に手をつないだり、などといった日常的なスキンシップはエストロゲンの分泌つを促してくれるため以上に効果的です。
授乳中の大豆イソフラボンの過剰摂取は危険
先ほど、エストロゲンに限りなく近い働きをしてくれる大豆イソフラボンの摂取が効果的ですよ。とお伝えしましたが、授乳中の方の場合は特に大豆イソフラボンを摂りすぎるのは危険だと言われています。
なぜならば、エストロゲンには母乳の生成をストップさせる働きがある。と言いましたが、その働きが大豆イソフラボンにもあるからです。
大豆イソフラボンを極端に摂取しすぎてしまっては、母乳育児に支障が出てしまう恐れがあります。
また、これはザクロエキスなどでも同様のことが考えられます。
母乳育児をされていない方は、適度に大豆イソフラボンなどの摂取によるエストロゲンの働きのサポートをお勧めしますが、授乳中の方の場合はイソフラボンの多い食品やザクロサプリやイソフラボンサプリなどの極端な摂取は控えてくださいね。
授乳中の場合のイソフラボンの摂取目安は?授乳中のママさんのイソフラボンの摂取量の目安は、およそ30ミリグラムだと言われており、豆乳でいうと1日200ミリから400ミリリットル程度だと言われています。母乳育児中のママさんでも、この様に適度に大豆イソフラボンを食物から摂取することで母乳がよく出るようになったり、乳腺炎の予防にも効果的ですし、母乳の質が上がるため赤ちゃんも嬉しいというメリットがあります。
エストロゲンはむくみを改善してくれる?!
月経周期の中で、生理前はやたら体がむくむ。といったような症状に悩んだ事はありませんか?
この仕組みを簡単に言うと、女性の体は月経周期に合わせて女性ホルモンのバランスが変化していきますが、生理前のタイミングはプロゲステロンと言う黄体ホルモンの分泌が盛んになります。
このプロゲステロンと言うのは、体内の水分量を増やす働きがあるんです。
そのため、生理前にプロゲステロンが過剰に分泌されると、体内に余分な水分が溜まり放題になってしまい、結果体がむくんでしまうわけです。
これに対するエストロゲンのむくみ解消の働きについては、完全には解明されていないようなのですが、もしかするとエストロゲンが増えることでむくみ解消につながるかもしれません。
もしくは、ただ単にエストロゲンが盛んに分泌されるタイミングでプロゲステロンの勢いが落ちることから、その影響でむくみにくくなっているだけかもしれないとも言われています。
まとめ
産後は体の仕組み上エストロゲンがどうしても減少しやすいため、心と体の状態が不安定になりがちです。
しかしそれもほとんどはエストロゲンが関係しており、エストロゲンの分泌を攻略することで深刻な症状は避けることができます。
このページで紹介したような方法を意識し、生活習慣を工夫してエストロゲンを積極的に分泌し、まずは自分の心と体の調子を取り戻し、子育てに励んでください♪