子どもはいたずらの天才などと言われるのですが、やはり子育ての中でもそういったいたずらやちょっとした反抗などで苦戦しているママさんやパパさんも多いと思います。
子どもは振り向いてほしいからとか、もっと自分のことを見てほしいというような内容で反抗してみたりいたずらをしたりするようです。
そういった中でおもちゃの片づけをしないとか、好きなものにしか興味を示さないということも多くあります。
今回紹介する絵本は、澤野秋文さんの「それならいいえありますよ」です。
この絵本は第34回講談社絵本新人賞佳作を受賞した作品で、妖怪やおばけがでてくるいい意味で日本の昔らしいイメージが生かされている絵本で、子供だけではなく大人も話を楽しめる作品になっています。
2013年に出版されているのですが、様々な絵本が登場してその世界観も様々で素敵な絵本や話題の絵本も多くなっているのですが、私達の子供のころでも通用しそうで、それでいて大人も子供もわくわくできる絵本が特徴の作品なので、一度は手に取ってもらいたいものになっています。
それならいいいえありますよってどんな絵本?
作:澤野秋文
出版社:講談社
発行日:2013年08月01日
それならいいいえありますよという絵本はどういったものなのでしょうか。
大人の考える住みたい家と、子供の考える住みたい家ってどんな差があるのでしょうか。普段こういった考えは話し合ったことがないと思いますが、男の子でも女の子でもおままごとや想像力の豊富な子供は大人が考え付かないようなことをいいだしたりします。
この絵本では動物や妖怪に敏腕の不動産屋さんでもある猫のちゃまるが様々な物件を紹介していきます。そこに主人公のおおざっぱで片付けのできないぎんたが関わっていきます。
話も大どんでん返しがあったりと、読み終わってから子供とどんな会話をするのかというのも醍醐味の一つになっていくと思います。
それならいいいえありますよを読み聞かせした方の声
それならいいいえありますよ、は澤野 秋文さんの作品です。お話としては「ぎんた」という怠け者の少年が散らかしっぱなしの部屋をそのままにしているというところから始まります。するとそこへ来た野良ねこのちゃまるが鼻を鳴らすとそのまま立ち去るのです。何となく気になって追いかけたぎんたはそのちゃまるが動物や妖怪たちの不動産屋であることを知ってしまいます。
ちゃまるは短冊に掛けられた様々な住まいに関する要望をてきぱきとこなしていきます。それを見たぎんたは自分もぐちゃぐちゃの家を何とかしてもらおうと、依頼を短冊に書いて貼っておくのですが……結局痛い目にあいしかも自分で部屋を片付けることになってしまうという話です。
まずこの絵本の良い点は、見た目で子供の気を惹けることが挙げられます。この作家さんの絵はぱっと見た目で可愛い、という感じではありませんが、いい意味でごちゃごちゃとしていて興味を惹くのです。特にこの絵本はぎんたが散らかした部屋の絵だけでもこの作家さんの細かな描写が生きています。ダルマの置物や生活用品だけでなく、食べかけのせんべいや団子など、本当に汚部屋と言っていい状況が細やかにそしてコミカルに描かれているのです。話とは別に、どこにどんなものがあるかな、と探してみるだけで楽しめます。最初の方の部屋の絵の中に散らかっていたものたちが最後のきれいになった部屋のどこにあるのか探してみるのも良いでしょう。なので、話の分からない低年齢のお子様相手でも楽しめる本となっています。
またストーリーもなかなか面白さがあります。出てくる動物や妖怪たちはとてもコミカルに描かれていてそれぞれ特徴的です。落語のように最初の伏線を拾ってつなげてきっちりと終わるしっかりとしたストーリーには、読み聞かされた子供も引き込まれるでしょう。
しかも、このお話は生活にも直結しています。このお話が分かる頃の子供は特に片付けが苦手な子が多くいると思います。その点に悩む親にとってこの絵本は良い教育本ともなり得ます。片付けはしっかりしておかないと自分が大変なんだよという事が分かりますし、結果自分も快適に過ごせるという事も分かるのです。
このように絵柄、ストーリーともにかなり高い質で両立しているのがこの「それならいいいえありますよ」となります。この本を読み終わった頃には、この作家さんの他の作品も見てみたくなるのではないでしょうか。そんな絵本です。