「この子、ほんとに偏食で困っちゃう…」「せっかく作っても、プイッとされちゃうとがっかり…」子どもの好き嫌いは、多くのパパやママが抱える共通の悩みです。
特に「食べない」という行動は、栄養面だけでなく、子どもの成長全体に影響するのではないかと心配になりますよね。
そんな時、食卓でのバトルを避けて、楽しく「食べない」を「食べる」に変えるヒントが、食育絵本に隠されています。絵本は、子どもが「食」への興味を自然に広げ、苦手意識を乗り越えるための、やさしい食育アプローチです。今回は、絵本の力を最大限に活かして、子どもの食へのポジティブな変化を促す方法をご紹介します。
なぜ絵本で「食べない」が変わるの?子どもの心の動き
子どもが特定の食べ物を「食べない」のには、様々な理由があります。絵本は、その理由に寄り添い、子どもの心の壁を溶かす力を持っています。
- 未知への好奇心を刺激: 子どもは、見たことのないもの、知らないものに対して抵抗感を抱きがちです。絵本を通じて、まだ見ぬ食べ物の色、形、名前、そして「これが食べ物なんだ」という認識が芽生えることで、食への好奇心が刺激されます。
- 五感を通じた安心感: 絵本の絵や物語は、視覚と聴覚に働きかけます。さらに、絵本を通じて食べ物について話すことで、触覚や嗅覚(「これは甘い匂いがするね」など)も意識するようになり、食べ物への警戒心が薄れていきます。
- 共感と自己肯定感: 絵本に出てくるキャラクターが苦手な食べ物を克服する姿は、子どもにとって「自分もできるかも」という共感と、「頑張ればできる」という自己肯定感に繋がります。
- ポジティブな記憶の積み重ね: 「食べさせられる」というプレッシャーではなく、「絵本を読んだら、食事が楽しくなった」というポジティブな記憶が、食への苦手意識を少しずつ変えていきます。
「食べない」を「食べる」に変える!絵本活用術
絵本の読み聞かせから、食への変化を促す具体的なステップをご紹介します。
ステップ1:まずは「食への興味」の種をまく
- 多様なテーマの絵本を揃える: 野菜、果物、パン、お米、肉、魚など、様々な食材が登場する絵本を読み聞かせましょう。特定の苦手な食材に限定せず、食全体への興味を引き出すことから始めます。
- 五感を意識した読み聞かせ: 「真っ赤なトマトだね、どんな味がするんだろう?」「このパン、ふわふわしてるね」など、絵本の絵から、色、形、匂い、食感をイメージする言葉を添えましょう。
ステップ2:苦手な食材に「親しみ」を持たせる
- 苦手な食材が主人公の絵本を探す: 例えば、ピーマンが苦手なら、ピーマンが可愛く描かれていたり、ヒーローのように活躍したりする絵本を選びます。
- 絵本のキャラクターになりきる: 絵本を読んだ後、その絵本のキャラクターになりきって、苦手な食材を使ったお料理ごっこをしてみましょう。遊びの中で、苦手な食材に触れる機会を作ります。
ステップ3:食卓で「小さな成功体験」を積み重ねる
- 食卓に「絵本に出てきたよ!」: 絵本で読んだ食材を食卓に出す際に、「これ、絵本に出てきたね!」と声をかけます。子どもは絵本との繋がりを感じ、警戒心が和らぐことがあります。
- 食べられなくてもOK!「触れる」「嗅ぐ」からスタート:
- 「一口だけでもいいよ」ではなく、「ちょっとだけ匂いをかいでみる?」「指で触ってみる?」と、ハードルを下げた提案をしましょう。
- 食べられなくても、「触れたね、すごいね!」「匂い、どうだった?」と、その行動自体を褒め、肯定的な体験として記憶させます。
- 調理の工夫と参加: 苦手な食材を細かく刻んで混ぜたり、好きなものと組み合わせたりする工夫も有効です。簡単な調理(洗う、ちぎるなど)を一緒に手伝わせることで、食事への関心が高まります。
【ここがポイント!】
子どもの「食べない」は、決して親のせいではありません。大切なのは、焦らず、無理強いせず、子どものペースに寄り添うことです。
絵本は、食卓での直接的なバトルを避けて、「食は楽しいもの」「食べると元気になれる」というポジティブなメッセージを、子どもの心にそっと届けてくれます。今日から、絵本の力を借りて、お子さんの「食べない」を「食べる」に変える食育アプローチを始めてみませんか?きっと、食卓が笑顔と発見で溢れるようになるはずです。
ただし、研究ではまだ研究対象の数が不足しているということで仮説となっているものの、妊娠中のママの食事で、妊娠期間に食べなかった(好き嫌い含む)食材は、生まれてくる子供も食べない傾向が、そうではない子供と比べると3倍多いという研究もあります。できるだけ妊婦さんもいろんな種類の食材を口にするようにしましょう。もちろん、妊娠中に避けないといけない食材もあるため注意は必要となります。
Q&A:絵本での苦手克服食育について
- Q1: 絵本を読んだら、すぐにその食材を食べさせるべきですか?
- A1: 焦る必要はありません。絵本で興味を持っても、すぐに食べられるとは限りません。まずは絵本の世界で親しみを持たせることを目標にし、実際に食卓に出すのは、子どもの反応を見ながら、数日後や数週間後でも大丈夫です。大切なのは、食べることへのプレッシャーを与えないことです。
- Q2: 同じ絵本を何度も読みたがりますが、他の絵本も読んだ方が良いですか?
- A2: 子どもが同じ絵本を読みたがるのは、内容を深く理解しようとしている証拠です。無理に他の絵本を勧める必要はありません。繰り返し読む中で、子どもは新しい発見をしたり、より深く食べ物のことを考えたりします。まずは、子どもの好きな絵本を存分に読んであげましょう。
- Q3: 食べない時の声かけで、「好き嫌いはだめだよ」と言うのは良くないですか?
- A3: 「好き嫌いはだめ」という否定的な言葉は、子どもの食への抵抗感を強める可能性があります。代わりに、「色々な食べ物を食べると、もっと元気になるよ」「体が強くなるよ」など、ポジティブな言葉で食べるメリットを伝えてみましょう。食べられない時は、その行動を褒める声かけ(「においをかいでみたんだね!」など)に切り替えるのがおすすめです。
- Q4: 絵本で食育をしても効果がない場合、他にできることはありますか?
- A4:
- 調理法や味付けを変えてみる: 蒸す、焼く、煮るなど、調理法を変えるだけでも食感が変わり、食べやすくなることがあります。
- 細かく刻んで混ぜる: 苦手な食材をハンバーグやカレーに混ぜ込むなど、見た目を変える工夫も有効です。
- 子どもが自分で選ぶ機会を作る: スーパーで「今日の野菜、どれにする?」と選ばせるのも良いでしょう。
- 専門家に相談する: あまりにも偏食がひどく、成長に影響が出ている場合は、小児科医や栄養士に相談してみましょう。
- Q5: 絵本選びのポイントはありますか?
- A5: 苦手な食材が登場する絵本だけでなく、食べ物ができる過程(畑や牧場など)を描いた絵本、食事のマナーや健康について楽しく学べる絵本など、幅広いジャンルを試してみましょう。また、絵が鮮やかで、ストーリーが分かりやすいものが、子どもの興味を引きやすいです。図書館で借りて、子どもの反応を見るのもおすすめです。
絵本の力を借りて、お子さんの「食べない」を「食べる」に変える、食育の旅を始めてみませんか?