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赤ちゃんの命を守る水分補給の「新常識」:ミルク・母乳だけでは足りない?月齢別の正しい知識

家事に育児、毎日お疲れ様です。「赤ちゃんに水を飲ませていいの?」「母乳やミルクだけで本当に足りている?」――特に体調の変化が激しい赤ちゃんを育てているママにとって、水分補給の疑問や不安は尽きませんよね。

大人のように「喉が渇いた」と言葉で伝えられない分、ママが常に気を配ってあげなければなりません。しかし、ご安心ください。赤ちゃんの体の仕組みと、正しい水分補給のタイミングさえ理解すれば、ママの不安は大きく解消されます。

このガイドでは、赤ちゃんの水分補給に関する基本的な知識から、飲まない時の具体的な対策までを詳しく解説し、ママの気持ちに寄り添います。

赤ちゃんがミルクで水分補給しているところ


1. なぜ赤ちゃんに水分補給が重要なのか?体の「水」の秘密

赤ちゃんは大人と比べて体内の水分比率が非常に高く、約70~80%が水分でできています。この水分は、生命維持に欠かせない重要な役割を担っています。


お腹の中にいる胎児のときは、なんと体の約90%が水分。
生まれてすぐの赤ちゃんでも約80%が水分で、ぷるぷるしているのもそのためなんですね。

でも、成長するにつれて少しずつ水分の割合は減っていきます。
大人になると、男性は約60%、女性は約55%ほどになります。

その理由は、体に「脂肪」がついてくるから。
脂肪は水分をあまり含まないので、体の中の水分の割合が減っていくんです。
また、女性は男性よりも脂肪が多い体のつくりなので、自然と水分量も少なくなります。

つまり、赤ちゃんのころはみずみずしいのが当たり前。
だからこそ、大人になっても体の水分バランスを意識してあげることが大切なんですね。

  • 高い水分比率: 大人(約60%)に比べて水分代謝が活発で、少しでも水分が失われるとすぐに脱水状態に傾きやすいです。
  • 腎機能の未熟さ: 赤ちゃんの腎臓は、尿を濃縮する機能がまだ未熟です。そのため、大人と同じ量の汗をかいたり水分が失われたりしても、それを補うための水分の調整がうまくできません。
  • 体温調節: 赤ちゃんは汗腺の機能も未熟なため、汗で体温を調節する能力が低く、熱がこもりやすいです。このため、発汗による水分補給の必要性が高まります。

つまり、赤ちゃんの体は「小さな水風船」のようなもので、常に水分が入れ替わり、失われやすい状態にあると理解することが大切です。

2. 月齢別・シーン別「水分補給」ガイドライン

水分補給が必要かどうか、また何を飲ませるべきかは、赤ちゃんの月齢によって大きく異なります。特に、生後6ヶ月未満の赤ちゃんへの「白湯・水」の与え方には注意が必要です。

2-1. 【生後5~6ヶ月未満】母乳・ミルクが最高の水分補給

この時期の赤ちゃんは、基本的に母乳または育児用ミルクから必要な水分と栄養をすべて摂取しています。WHO(世界保健機関)や日本の小児科学会でも、特別な理由がない限り、水や果汁、イオン飲料などを与える必要はないとされています。

  • 注意点: 生後間もない時期に水を与えすぎると、かえって「水中毒」や「低ナトリウム血症」を引き起こすリスクがあります。これは、まだ未熟な腎臓が水分を処理しきれず、体内の電解質のバランスが崩れることで起こります。
  • 補給のサイン: 母乳やミルクの回数・量を増やしても、おしっこの回数が減る、口の中が乾燥しているなどのサインが見られた場合は、まず医師に相談してください。

2-2. 【離乳食開始以降】水分補給の練習スタート

離乳食が始まる生後5~6ヶ月頃から、食事以外の水分補給を徐々に開始します。この時期は、「水分を摂る練習」の時期でもあります。

タイミング 与えるもの 目安量
離乳食の前後 白湯(冷まし湯)、麦茶 スプーンやマグで数口程度
お風呂上がり 白湯、麦茶 母乳・ミルクの後に少量
遊び中、汗をかいた時 麦茶 喉を潤す程度

白湯と麦茶が基本: 余計な糖分や塩分を含まない白湯(70℃のお湯を冷ましたもの)や乳児用の麦茶が最も適しています。麦茶はカフェインを含まないので安心です。慣れないうちは、白湯に麦茶を少量混ぜて薄めてから飲ませるのも良い方法です。

3. 【ママの視点】赤ちゃんが飲んでくれない時の「独自」の乗り切り方

「せっかく作ったのに全然飲んでくれない!」と、マグを投げ出したくなる日もありますよね。それはママの努力不足ではありません。赤ちゃんにも気分や好みがあります。飲まない時のママの気持ちに寄り添った、いくつかの工夫をご紹介します。

3-1. 飲ませ方を変える「五感アプローチ」

  • 温度を変える: 冷まし湯を人肌から少し冷たいくらい(15℃くらい)に変えてみる。意外と冷たい飲み物を好む赤ちゃんもいます。
  • 容器を変える: ストローマグが嫌なら、コップの縁から少しずつ飲ませてみる。飲む道具が変わるだけで、遊び感覚で飲んでくれることがあります。
  • 場所を変える: いつもと違う場所(ベランダ、リビングの窓際など)で飲ませてみる。景色が変わることで気分転換になり、飲んでくれることがあります。

3-2. 食べ物に水分を含ませる「隠れ水分補給」

水分補給は飲み物からだけではありません。離乳食中期以降であれば、食事の工夫で水分を補いましょう。

  • とろみをつける: 普段の離乳食に、片栗粉などでとろみをつけ、水分量を増やします。汁気のあるポタージュなどもおすすめです。
  • 水分豊富な食材: キュウリ、トマト、スイカなど、水分を豊富に含む野菜や果物を少量試してみる(アレルギーに注意)。

4. 【重要】見逃さないで!脱水症状の危険なサイン

特に夏場や発熱時は、脱水が急速に進みます。以下のサインが複数見られた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

脱水症状のサイン チェックポイント
おしっこの回数 6〜8時間以上、おしっこが出ていない、または量が極端に少ない。
口の中・舌 唇や舌が乾いてカサカサしている。唾液がほとんど出ていない。
大泉門(頭のてっぺん) 大泉門(頭の柔らかい部分)がへこんでいる。
皮膚の状態 皮膚をつまんで戻りが悪い(ハリがない)。
機嫌・様子 ぐったりして元気がない、泣いても涙が出ない、または反応が鈍い。

公的機関からの情報: 赤ちゃんの水分補給や脱水症状に関する最新かつ正確な情報は、日本小児科学会などの信頼できる情報源で確認することをおすすめします。

※上記は一般的な情報提供であり、医学的な診断や治療の代替となるものではありません。体調に異変を感じた場合は、速やかに専門医にご相談ください。

5. ママの疑問を解消!水分補給Q&A

Q1: 生後3ヶ月ですが、熱がなくても夏場は麦茶を与えても大丈夫ですか?
A1: 生後6ヶ月未満の赤ちゃんは、基本的に母乳やミルクから必要な水分を摂取できるため、積極的な水分補給は不要です。しかし、真夏の猛暑で汗を大量にかいた場合は、ごく少量(スプーン1~2杯程度)の白湯や麦茶を試すこともありますが、まず母乳・ミルクを頻回に与えることを最優先してください。不安であれば、医師や助産師に相談しましょう。
Q2: 麦茶は薄めずにそのまま飲ませても良いですか?
A2: 麦茶はノンカフェインで乳児用のものもありますが、初めて与える際は、**必ず2倍程度に薄めた白湯(湯冷まし)**からスタートしてください。味に慣れさせること、また消化器への負担を考慮するためです。慣れてきたら徐々に薄めるのをやめても構いません。
Q3: 市販のスポーツドリンクを薄めて飲ませるのは危険ですか?
A3: 赤ちゃんに大人用のスポーツドリンクを与えるのは避けてください。糖分や電解質濃度が高すぎて、未熟な腎臓に大きな負担をかける可能性があります。水分補給が必要な時は、乳児用の経口補水液(OS-1など)や、赤ちゃん用のイオン飲料を医師の指示のもとで適切に使用しましょう。
Q4: 離乳食で使う野菜スープの出汁は水分補給になりますか?
A4: はい、なります。塩分がほとんど入っていない薄い野菜スープの出汁や、昆布出汁などは、水分補給になるとともに、食材の風味に慣れさせる練習にもなります。ただし、市販の顆粒だしは塩分が高いため、必ず無添加や減塩のものを選び、薄めに調理しましょう。
Q5: スパウトマグやストローマグはいつから使わせるべきですか?
A5: スパウトマグは5~6ヶ月頃の離乳食開始と同時に、ストローマグは個人差がありますが、7~8ヶ月頃から練習を始めるのが一般的です。最初はコップ飲みの練習からスタートしても良いでしょう。大切なのは、ママが焦らず、赤ちゃんのペースに合わせて色々な飲み方を試してあげることです。

6. まとめ:ママの自信が最高の水分補給

毎日、赤ちゃんの体調と機嫌を気にかけながら、一生懸命に育児に向き合っているママ、本当に偉いです。「この子のために水分補給を完璧にやらなきゃ」と、マグや哺乳瓶とにらめっこして、疲れてしまっていませんか?飲まないことで自分を責める必要は全くありません。それは、あなたがそれだけ真剣に赤ちゃんを想っている証拠です。

しかし、もう大丈夫です。あなたは今、赤ちゃんの体がいかに水分でできていて、なぜ水分補給が大切なのかという科学的な知識を身につけました。この知識があれば、不安な気持ちは「確かな自信」へと変わります。赤ちゃんを観察し、おしっこの回数と口の乾きという具体的なサインを見て判断できるようになったのですから。

考え方を変えて今日から、水分補給の時間を「義務」ではなく、「ママと赤ちゃんの楽しいコミュニケーションの時間」に変えてみませんか?まずは、マグを握らせてあげて、あなたが美味しい麦茶を飲んでいる様子を見せてあげてください。そして、「ゴクゴク、美味しいね」と笑顔で声をかけてあげましょう。小さな一口でも飲めたら、思いっきり褒めてあげてください。ママの笑顔と安心感こそが、赤ちゃんにとって最高の水分補給なのですから。