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育児と介護が重なる:【ダブルケアの現実】一人で抱え込まない!社会資源をフル活用する

幼い子どもの世話と、心身のサポートが必要な親の介護。この二つが同時にあなたの生活に重なる状態を「ダブルケア」と呼びます。あなたは今、このダブルケアの真っただ中で、毎日が綱渡りのような状態かもしれません。「いつかこの綱から落ちてしまうのではないか」という不安や、「すべてを完璧にこなさなければ」というプレッシャーに押しつぶされそうになっているのではないでしょうか。この状況を、あなた一人で、愛情や根性だけで乗り越える必要はありません。

ダブルケアは、社会全体で解決すべき共通の課題です。この記事では、育児と介護の同時進行で生じる具体的な課題を明確にし、あなたが一人で抱え込んでいる責任を社会資源(サービスや制度)に分散させるための具体的なロードマップを詳しく解説します。使える制度を一つ残らず見つけ出し、あなた自身の時間と心を取り戻しましょう。あなたの人生を犠牲にしないでください。

3世代家族



🛑 ステップ1:ダブルケアで直面する「3つの時限爆弾」

育児と介護が重なることで、あなたの時間と心は、常に3つの課題に脅かされています。

1. 「時間の時限爆弾」:物理的な時間の枯渇

  • 現実: 育児の「今すぐ」の要求(授乳、夜泣き)と、介護の「定期的」な要求(食事、排泄、通院)がぶつかり合い、自分のための時間がゼロになります。
  • 対策: 時間の重なりを避ける「時間割」を作成しましょう。例えば、デイサービスの利用時間に合わせて、子どもの予防接種や役所手続きを行うなど、予定を調整します。

2. 「お金の時限爆弾」:費用負担の増大とキャリア中断

  • 現実: 介護費用(サービス利用料、医療費)と教育費用(保育園、学費)が重なり、経済的な負担が増大します。さらに、ダブルケアによるキャリアの中断(時短勤務、休職)で収入が減少します。
  • 対策: 両親の貯蓄や資産を確認し、介護費用に充てられるか相談しましょう。また、「育児休業給付金」「介護休業給付金」など、使える公的給付金を漏れなくチェックしましょう。

3. 「心の時限爆弾」:精神的な疲弊と罪悪感

  • 現実: 子どもの成長の喜びと、親の衰弱を見る悲しみが同時期に存在するため、感情の振れ幅が極端に大きくなります。どちらに対しても「十分にしてあげられない」という罪悪感が心を蝕みます。
  • 対策: 「どちらも完璧にはできない」と割り切りましょう。週に1回、自分の感情を誰かに話す時間(友人、カウンセラー、地域のダブルケアカフェなど)を確保しましょう。

 

🗺️ ステップ2:負担を分散する「社会資源活用ロードマップ」

育児と介護、それぞれの負担を分散させるための具体的な制度活用法です。

1. 介護の負担軽減:介護保険と地域包括支援センター

  • 必須: まずは地域包括支援センターに相談し、親の要介護認定を受けましょう。
  • 活用サービス:
    • ショートステイ(短期入所): 育児の大きなイベント(入園式、発表会、家族旅行など)がある際に、親に一時的に入所してもらい、集中的な育児時間を確保します。
    • デイサービス(通所介護): 昼間の介護を任せ、その間に自分の時間や子どもの習い事の送迎時間を確保します。
    • 訪問介護: 離乳食の準備中や子どもの寝かしつけ時など、手が離せない時間帯にピンポイントで利用します。

2. 育児の負担軽減:子育て支援サービスと職場の制度

  • 活用サービス:
    • ファミリー・サポート・センター: 親の通院や急な介護対応が必要な際に、子どもの送迎や一時預かりを依頼します。
    • 病児保育・一時保育: 親の体調が悪く、自宅で集中して介護したい日に、子どもを預けましょう。
    • 育児・介護休業制度: 職場で「育児・介護休業制度」の同時取得や、時短勤務ができないか相談しましょう。

体験談:ショートステイで得た家族の時間

「要介護4の父と、2歳の息子のダブルケアで、息子の入園式に出られるか不安でした。ケアマネジャーさんに相談し、入園式の時期に父にショートステイ(短期入所)を利用してもらったんです。たった2泊3日でしたが、私は心から息子の入園を祝い、夫と久しぶりにゆっくり話す時間が持てました。『親を預けるなんて』という罪悪感はありましたが、家族全員が笑顔になるための、戦略的な休息だと割り切って利用して本当に良かったです。」(ママ歴3年・恵美さん)

 

❓ ダブルケアの社会資源に関するQ&A

Q1:ダブルケアであることを理由に、公的サービス利用で優遇されることはありますか?
A1:直接的な優遇制度はありませんが、相談の際にダブルケアであることを強く伝えることで、支援がスムーズに進む場合があります。特に、地域包括支援センターや福祉事務所は、ダブルケアの過酷さを理解しているため、緊急性の高いサービス(緊急ショートステイ、緊急一時保育)の利用を優先的に案内してくれることがあります。まずは相談窓口で正直に現状を伝えましょう。

 

Q2:介護と育児で、金銭的な給付金制度にはどのようなものがありますか?
A2:あなた自身が利用できる主な給付金は、「育児休業給付金」「介護休業給付金」です。また、親御さんが要介護認定を受けている場合は、高額介護サービス費、高額療養費制度などにより、自己負担額を軽減できる可能性があります。市区町村の福祉課に相談し、利用可能な制度をチェックしましょう。

 

Q3:仕事との両立が限界です。会社にダブルケアであることを伝えるべきですか?
A3:はい、伝えることを強く推奨します。法的な観点からも、従業員から介護の申し出があった場合、企業には「介護休業」「介護のための時短勤務」などの制度を整備し、提供する義務があります。正直に状況を伝えることで、会社からの理解と支援(制度利用、業務調整)を得るための第一歩になります。

 

Q4:遠距離介護と遠距離育児が重なった場合、どうすればいいですか?
A4:遠距離介護の場合は、特に「地域の専門家」との連携が必須です。
  • 親の住む地域の地域包括支援センターのケアマネジャーに、家族の状況を詳しく伝え、緊急時の対応や、親の近くに住む民間の見守りサービスの利用を検討しましょう。
  • 子どもの急な発病に備え、現住所での病児保育を登録しておきましょう。

 

Q5:子どもに「おばあちゃん、どうして病気なの?」と聞かれたら、どう答えるべきですか?
A5:子どもの年齢に合わせて、正直に、そして優しく伝えましょう。「おばあちゃんは、年を取って、体の動かし方や、物事を覚えるのが少し難しくなっているんだよ。だから、〇〇ちゃんが小さい頃にママが手伝ったように、今度はママがおばあちゃんを手伝っているんだ」と、「成長と衰退は自然なこと」として説明すると理解しやすくなります。子どもは意外と状況を理解し、協力してくれることがあります。

🌟 まとめ:あなたはもう一人じゃない。社会という名の家族を頼ろう。

「制度を頼るのは恥ずかしいことじゃない。私の生活を守るための戦略だ。」

育児と介護が重なり、毎日ギリギリの状態で踏ん張り続けているあなた。あなたは、二つの大切な命を同時に守ろうとする、非常に勇敢な存在です。誰もが「大変だ」と口にするけれど、その本当の過酷さは、ダブルケアを経験した人にしかわかりません。そんな状況で、一人で抱え込もうとしてきたあなたの努力に、心から敬意を表します。

あなたは今日、ダブルケアが個人の問題ではなく、社会の資源をフル活用して乗り越えるべき課題であることを知りました。ショートステイやファミサポといった社会資源を頼ることは、親や子どもを見捨てることではなく、あなたが倒れないための、最も賢明な「戦略」なのです。あなたの心と体の健康が、この困難な時期を乗り越えるための「最重要資源」なのです。

さあ、今日、お住まいの地域の「地域包括支援センター」または「子育て支援センター」に電話をかけてみませんか。そして、「ダブルケアで困っています」と一言、伝えてみましょう。その一歩が、あなたを孤独な綱渡りから解放し、社会という名の大きな家族のサポートを受け取るための第一歩となります。頼ることは、愛の証です。