産褥期は一般的に、授乳以外はできるだけ何もしないのが好ましい。と言われていますよね。
ですが産褥体操は産後の肥立ちに悪影響を与えるほど負荷のある運動でもなく、むしろ妊娠中に運動不足になってしまったままの体を、より回復しやすい状態にサポートしてくれたりする働きもあるんです。
産褥体操にもいろんなやり方がありますが、ここでは1日目から行える体操や、もうすぐ1ヶ月検診の方にお勧めの産褥体操までいくつかご紹介していきたいと思います。
- なぜ産後に体を動かす必要があるの?
- 産褥体操をする5つのメリット
- 産後1日目からできる簡単産褥体操
- 産後1週間から1ヶ月の方にお勧めの簡単産褥体操
- こんなときは無理しないで!注意点と始めどき
- 時期別、簡単にできる産褥体操まとめ
- 母からのアドバイスを無視して後悔した話
なぜ産後に体を動かす必要があるの?
出産を終えたあとの体は、思っている以上にダメージを受けています。妊娠中にゆるんだ骨盤周りの筋肉や靭帯、妊娠中の運動不足による筋力の低下など、様々な変化が起こっています。
そのまま安静にしすぎていると、血流が悪くなって「むくみ」や「冷え」につながったり、筋力低下が進んで姿勢が悪くなってしまうことも。さらに、ホルモンバランスの変化で気分が落ち込みやすい時期でもあるので、軽く体を動かすことが心と体の両方のケアにつながります。
産褥体操は、この回復期にぴったりの「無理なく始められる」運動です。
産褥体操をする5つのメリット
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骨盤のゆがみ改善
妊娠・出産でゆるんだ骨盤を、無理なく元の位置に戻すサポートになります。 -
血流アップでむくみ改善
軽い運動でも血流が良くなり、産後に多い「足のむくみ」や「手足の冷え」の解消に効果的です。 -
子宮の回復促進
下腹部を適度に動かすことで、子宮が正常な位置へ戻るのを助けます。 -
腰痛・肩こり予防
赤ちゃんの抱っこや授乳で起こりがちな筋肉のこわばりを、早めにほぐすことができます。 -
気分転換やストレスケアに◎
リズムよく呼吸して体を動かすことで、副交感神経が優位になり、気分の安定にも役立ちます。
産後1日目からできる簡単産褥体操
それでは早速、産後1日目から行うことができる簡単な産褥体操ご紹介します。
1日目から行う体操は足首の曲げ伸ばし体操と呼ばれるものです。
この体操は、
- 名前の通りで足をまっすぐ伸ばし
- 左右両方の足首を前後にゆっくりと大きく動かす
これを15回程度繰り返していく。これだけです。(左右に倒すのもありです)
妊娠期間を通してママの体は、かなり筋力が低下した状態であり、血流もあまり良くありません。
これを行うだけでも、足首周辺の筋肉を刺激することができ、その周辺の筋肉が刺激されると血流の改善につながるんです。
首の曲げ伸ばし体操
こちらも産後1日目から行える簡単な産褥体操で、先程の足首を倒す体操と似ており、今度は首を前後に曲げて倒すだけです。
その際の注意点としては、座ったままでも良いのですが、背筋を伸ばすことがポイントです。背筋を伸ばして首から下は固定したようなイメージです。そのまま首だけを前後左右にゆっくりと大きく倒し周辺の筋肉を刺激していきます。その最後に首をぐるっと何回か回してあげるとさらに効果的です。
産後1週間から1ヶ月の方にお勧めの簡単産褥体操
ここからは産後1週間を過ぎた方にお勧めの産褥体操になります。
足を上下に動かす体操
こちらはうつぶせに寝転がる状態になります。そして膝を伸ばしたまま足を片方ずつゆっくりと上に持ち上げます。下におろす時もゆっくりと下に下げていきます。これを交互に繰り返します。大体15回前後位繰り返しましょう。
これを行うと裏ももやヒップの引き締め効果が期待できるため、太ももとお尻の区別がつきやすくなります。
足を上下に動かす体操その2
こちらも先ほどと似ているのですが、うつぶせではなく横を向いて寝転がるイメージです。
そのままの状態で上の方になっている足をゆっくりと上に上げ、その後下にゆっくりとおろしていきます。これを30回程度繰り返し、終わったら反対向きになって同じことを繰り返します。
これを行うと太ももの外側の筋肉を刺激してあげることができますよ。
軽い腹筋運動
これは上体起こしに行っていますが、いわゆる通常の腹筋トレーニングとは少し違います。
これは寝転がった状態で仰向けに寝ます。そして膝は曲げず、目線をおへそにもっていくように頭からだんだんとカールしていくように上体を少しだけあげます。
これは3回程度でも構いません。余裕であれば回数を増やしましょう。
こんなときは無理しないで!注意点と始めどき
基本的には、産後翌日からでも始められるほど軽い運動ですが、すべてのママに当てはまるわけではありません。以下のような場合は、自己判断で無理に始めないことが大切です。
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大量の出血がある(悪露が増えた)
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会陰切開や帝王切開の傷が痛む
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めまいやふらつきがある
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医師から安静を指示されている
産褥体操は、「今日の体調どうかな?」と自分の体に耳を傾けながら行うのが基本です。心配なときは、産院や助産師さんに相談してからスタートしましょう。
時期別、簡単にできる産褥体操まとめ
産褥体操も調べてみるともっともっとたくさんあるのですが、ここではその中でも特に簡単に行えるものをいくつかピックアップさせていただきました。
こういった体操であれば産褥期のママさんでも安心して行うことができます。
ただし、体の状態が安定している時のみ行うことを心がけ、無理をして継続することは避けて下さいね。あくまで産褥期は安静にすることが重要ですので、ご自身の体調と相談して無理なく行っていきたいですね。
母からのアドバイスを無視して後悔した話
ある方の話なのですが、その方は、産後に病院の先生や自分のお母さんから、「産褥期はこうやって過ごすんだよ。」などとたくさんのアドバイスを受けていました。ですが彼女はお母さんからのアドバイスをあまり深くは気にしていませんでした。
母からのアドバイスの中には、「産褥期はできるだけ動き回らずにとにかく安静にするんだよ」と言うものがありました。
そうすべき根拠を知らなかった彼女は、母のアドバイスを無視して産褥期にもかかわらず無理をしてしまったそうです。
彼女は後に、約2年間尿漏れトラブルに悩むようになったそうです。
・・・産褥期に無理をすると必ず尿漏れになるとは限りませんが、現在日本国内ではおよそ30%の産後のママさんが尿漏れトラブルに悩んでいると言われています。そして、産褥期に無理をするとそのトラブルのリスクも高まると言われているんです。
産褥期はいろいろな方から「あぁしたいいよ、こうした方がいいよ。」とアドバイスを受ける機会が多いでしょう。
もしかすると中には根拠のない話もあるかもしれませんが、あなたのためを思って伝えてくれる方の言葉に耳を傾けずに無視してしまうと、後々後悔することになるかもしれません。
ここで紹介した産褥体操は、そういったリスクにつながってしまうようなものではありませんが、それ以上に過激なエクササイズなどは、尿漏れトラブルなどの様々なリスクに発展しかねないため、自身の時期に合った適切な体操を行っていきたいですね。