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産後便秘はなぜ起こる?ママの体で起きている「仕組み」と原因を徹底解説

こんにちは!赤ちゃんとの新しい生活、本当にお疲れ様です。

可愛い赤ちゃんとの日々の一方で、「あれ?なかなかお通じがないな…」「お腹が張ってつらいな…」と、産後の便秘に悩まされていませんか?

妊娠中も便秘になりやすかったけれど、産後も続くなんて…とゆううつな気持ちになりますよね。中には、産後1ヶ月近くも排便がないという深刻な便秘に悩まされる方もいらっしゃると聞きます。

産後の便秘は、多くのママが経験する、体からの大切なサインです。そして、そこには産後のママの体特有の、いくつかの「仕組み」が関係しています。

この記事では、産後便秘がなぜ起こるのか、あなたの体で起きている具体的な「仕組み」と原因を、分かりやすく丁寧にお伝えします。原因が分かれば、きっと対処も見えてくるはずです。一人で悩まず、一緒に産後便秘の「仕組み」を知って、スッキリできる毎日を目指しましょう。

産後の子育てと健康のアドバイザー

そもそも「便秘」ってどんな状態?産後の定義は?

「毎日お通じがないと便秘なの?」と疑問に思う方もいるかもしれませんね。便秘に明確な医学的な定義はないと言われますが、一般的には以下の状態が目安とされています。

  • 排便の回数が著しく少ない(週に3回未満など)
  • 排便があっても、量が少ない、硬い、残便感がある
  • お腹が張る、腹痛がある

日本の内科学会では、「3日以上排便がない状態」や「毎日排便があっても残便感がある状態」を便秘と定義しているそうです。産後もこの目安は変わりませんが、慣れない生活や体の変化から、一時的に便秘になりやすい状態にあると言えます。

産後便秘がママの体に与える影響

便秘の状態が続くと、心身ともに不快感があり、ママの負担になってしまいます。

  • **お腹の張りや痛み:** 不快感が続き、気分がすぐれない原因になります。
  • **腰痛や肩こりの悪化:** 血行不良が原因で、体のコリが悪化することがあります。
  • **精神的な不調:** 便秘の不快感が、イライラやゆううつな気持ちに繋がることもあります。
  • **むくみやすくなる:** 水分代謝が悪くなることが関係している場合があります。
  • **肌荒れや口臭・体臭:** 体内に不要なものが溜まることで、肌の調子が悪くなったり、ニオイが気になることも。
  • **食欲不振や吐き気:** 症状がひどい場合、食欲がなくなったり、吐き気を感じたりすることも。

つらい便秘は、ママの笑顔を奪ってしまうことも。そのままにせず、原因を知って適切に対処することが大切です。

産後便秘はなぜ起こる?あなたの体で起きている具体的な「仕組み」

産後特有の便秘には、妊娠・出産で変化したママの体にいくつかの要因が重なって起こる「仕組み」があります。詳しく見ていきましょう。

1.ホルモンバランスの急激な変化が腸の動きを鈍らせる仕組み

妊娠中に多く分泌されていた女性ホルモン「プロゲステロン」には、腸のぜん動運動(便を送り出す動き)を抑える働きがあります。

産後、このプロゲステロンが急激に減少しますが、ホルモンバランスが元の状態に戻るまでには時間がかかり[厚生労働省 e-ヘルスネット]、妊娠中の腸の動きが鈍い状態がしばらく続くことがあります。また、産後の様々なホルモン変動自体も、自律神経を介して腸の働きに影響を与えることがあります。

2.出産による体のダメージ(骨盤底筋・腹筋)が排便を難しくする仕組み

  • **骨盤底筋への影響:**
    普通分娩の場合、赤ちゃんが産道を通る際に骨盤底筋(骨盤の底にある筋肉群)が大きく引き伸ばされたり、傷ついたりします。骨盤底筋は排便時に重要な役割(いきむのを助ける、便を出す出口をコントロールする)を担っています。この筋肉がダメージを受けてうまく使えなくなると、排便時にうまく力(腹圧)をかけられず、便を押し出しにくくなります。
  • **腹筋の筋力低下:**
    妊娠中にお腹の筋肉(腹筋)は大きく引き伸ばされます。これにより、産後は腹筋の力が弱くなっています。腹筋は排便時に腹圧をかけるために重要な筋肉です。腹筋の力が弱いと、排便に必要な「いきむ力」が弱くなり、便をスムーズに出しにくくなります。特に腹直筋離開がある場合は、腹圧をかけるのがより難しくなることがあります。

3.会陰の傷や痛みの恐怖で便意を我慢してしまう仕組み

会陰切開や会陰裂傷など、出産時の傷がある場合、排便時に傷が開いたり痛んだりするのではないかという**恐怖心**から、つい便意を我慢してしまいがちです。便意を我慢すると、便が腸内に留まる時間が長くなり、水分がどんどん吸収されて硬くなってしまいます。硬くなった便はさらに排出しにくくなる、という悪循環に陥ってしまいます。

4.水分不足と体の冷えが便を硬くする仕組み

  • **水分不足:**
    出産時の出血や、授乳による水分消費で、産後の体は水分が不足しやすい状態です。水分補給が追いつかないと、便から必要以上に水分が吸収されてしまい、便が硬くなります。硬い便は腸を通りにくく、便秘の原因となります。
  • **体の冷え:**
    産後は体温調節機能が不安定になったり、安静にしている時間が長かったりして体が冷えやすくなります。体が冷えると血行が悪くなり、腸の動きも鈍くなってしまうことがあります。

5.痛み止めなど薬剤の影響や運動不足、ストレスなども

出産時や産後に使用した痛み止め(特にオピオイド系)の中には、腸の動きを抑制する副作用があるものがあります。また、産後すぐの安静や、その後の慣れない育児による運動不足も、腸のぜん動運動を低下させる原因となります。育児ストレスや睡眠不足から自律神経が乱れ、腸の働きが悪くなることもあります。

このように、産後の便秘は単一の原因ではなく、**ホルモン、筋肉、痛み、水分、血行、薬剤、運動、ストレスなどが複合的に絡み合って**起こっているのです。あなたの体が赤ちゃんを産み、回復しようとしている過程で起きていることなんですね。

産後便秘の「仕組み」が分かれば対処が見えてくる

便秘になってしまう「仕組み」を知ることで、どこにアプローチすれば良いのかが分かってきます。戦略的な便秘解消のためには、以下の3つのポイントが重要になります。

  1. 体内の水分量を適切に保つこと
  2. 腸内環境を整えること
  3. 排便を妨げる要因(体のダメージ、ストレスなど)をケアすること

これらのポイントを押さえた具体的な解消法については、次のセクションで詳しく見ていきましょう。

産後の戦略的な便秘解消方法【具体的なケア】

産後の便秘の「仕組み」にアプローチするための具体的な方法をご紹介します。

便秘解消に有効な水

1.水分をしっかり補給しよう

出産や授乳で水分が失われやすい産後は、意識的な水分補給が必須です。「仕組み」で触れたように、水分不足は便を硬くする大きな原因です。特に母乳育児の方は、赤ちゃんに水分を与える分、ママもしっかり補給する必要があります。

  • **こまめな水分補給:** 一度に大量ではなく、少量ずつ頻繁に(例:授乳のたびや、1時間おきにコップ1杯など)。
  • **飲むもの:** シンプルな水や麦茶、ノンカフェインのハーブティーなどがおすすめです。糖分の多いジュースや、利尿作用のあるカフェイン(コーヒー、緑茶など)が多い飲み物は控えめにしましょう。
  • **目標量:** 1日2リットル、可能であれば2.5リットル以上を目指しましょう。

温かい飲み物は体を温め、血行促進にも繋がるのでおすすめです。

2.腸内環境に良いものを摂ろう

腸内環境を整えることは、腸のぜん動運動を助け、スムーズな排便に繋がります。善玉菌を増やし、そのエサとなるものを摂りましょう。

  • **食物繊維:** ごぼう、バナナ、りんご、海藻類、きのこ類など、食物繊維が豊富な食材を積極的に摂りましょう。
  • **乳酸菌やビフィズス菌:** ヨーグルト、乳酸菌飲料、チーズ、味噌、漬物などの発酵食品から摂れます。
  • **オリゴ糖:** はちみつ、バナナ、玉ねぎ、ごぼうなどに含まれます。善玉菌のエサになります。

ヨーグルトにはちみつやきなこ(食物繊維)を混ぜるなど、組み合わせて摂るのも効果的です。バランスの良い食事を心がけましょう。

3.排便を妨げる要因をケアしよう

体の回復や心のケアも、便秘解消には欠かせません。「仕組み」で触れた要因にアプローチします。

  • **体の回復を待つ・ケアする:** 会陰の傷などの痛みがある場合は、無理に力まず、痛みが和らぐのを待ちましょう。医師に相談して便を柔らかくする薬などを処方してもらうのも一つの方法です。産後体操などで、骨盤底筋や腹筋の回復をサポートするのも良いでしょう。
  • **無理のない範囲で体を動かす:** 産後体操、軽いストレッチ、近所の散歩など、少しずつ体を動かすことで、腸の動きを活性化させます。(産後運動の始め方はこちら)
  • **体を温める:** シャワーだけでなく湯船に浸かる、腹巻をする、温かい飲み物を飲むなど、体を温めて血行を良くしましょう。
  • **休息とストレスケア:** 睡眠不足やストレスは自律神経を乱し、腸の働きを悪くします。赤ちゃんが寝ている間にママも休む、周りに協力を頼む、好きな音楽を聴く、軽い瞑想をするなど、心身をリラックスさせる時間を作りましょう。(産後ストレス対策はこちら)
  • **排便を我慢しない:** 便意を感じたら、できるだけ我慢せずトイレに行きましょう。座る姿勢を工夫したり、足台を使ったりすると排出しやすくなることもあります。

【注意】こんな時は必ず専門家に相談を

便秘薬

産後便秘は多くの場合、上記のケアで改善が見られますが、以下のような場合は、自己判断せず、必ずかかりつけの医師や助産師さんに相談してください。

  • **便秘が非常に長く続く(1週間以上など)、または腹痛や吐き気など他の症状を伴う場合。**
  • **市販の便秘薬(下剤)を使用したい場合。** 授乳中の使用には注意が必要な成分があります。自己判断せず、医師に相談して、安全な薬を処方してもらいましょう。
  • **排便時にひどい痛みや出血がある場合。**
  • **会陰の傷が痛くて排便できないなど、体の回復状況と関連して便秘が重い場合。**
  • **普段と違う、何かおかしいと感じる場合。**

専門家はあなたの体の状態を把握し、適切なアドバイスや治療法(安全な便秘薬の処方など)を提案してくれます。一人で抱え込まず、頼ってくださいね。

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まとめ:「仕組み」を知って、スッキリ産後を目指そう

産後便秘は、ホルモンの影響、出産による体のダメージ、水分不足など、様々な「仕組み」が複雑に絡み合って起こる、多くのママが経験するお悩みです。

「なぜ?」が分かれば、「どうすればいいか」が見えてきます。水分補給、腸内環境を整える食事、無理のない運動、体のケア、そして心身のリラックスを心がけることが、産後便秘解消への鍵となります。

もしセルフケアで改善しない場合や、つらい症状がある場合は、迷わず専門家(医師、助産師)に相談してください。安全な方法で、あなたのスッキリをサポートしてくれます。

体の回復を焦らず、ご自身の心と体を大切に労わりながら、産後便秘と上手に付き合っていきましょう。あなたが笑顔で過ごせる毎日を、心から応援しています!