
産後の栄養については、なんとなく大切である事は分かっていても、育児生活で忙しいし、何をどうしたら良いのかわからない。と言う方も少なくないと思います。
そんな中でも、このページをご覧になられていると言う事は、バランスの良い栄養補給を意識されているのではないかと思います。
そんな方のためにこのページでは、産後はどのような栄養を意識的に補給したら良いのか、またそれらをどんな食べ物から摂取していけば良いのか、といった内容を特集していきます。
そして、サプリメントと言う手段はどうなのか、また、産後の栄養補給で知っておきたい注意点等についても特集していきます。
授乳中・産後ママに必要な栄養量は?【最新データから解説】
産後ママは、出産の回復と授乳のために、妊娠前より多くのエネルギーと栄養素が必要になります。 授乳中は1日あたりおよそ+350kcalのエネルギー補給が推奨されています。
また、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、 授乳中に特に意識したい栄養素は以下の通りです。
| 栄養素 | 妊娠前との比較 | 主な食材例 |
|---|---|---|
| エネルギー | +350kcal | ごはん、さつまいも、全粒パン |
| たんぱく質 | +15〜20g | 鶏むね肉、豆腐、卵、魚 |
| カルシウム | +100mg | 牛乳、小松菜、チーズ |
| 鉄分 | +2mg | レバー、ひじき、赤身肉 |
| ビタミンB群 | +約20% | 納豆、豚肉、卵、バナナ |
産後の栄養補給は、母乳の質や体力回復にも直結します。 「食べたい時に少しずつ、無理せずバランス良く」がポイントです。
📚参考: 厚生労働省|日本人の食事摂取基準2025年版
看護roo!|授乳中に必要な栄養とカロリー量
なぜ産後に栄養バランスが重要なのか
産後は、過去最高に体の内部がダメージを負っていたり、相当な疲労をしています。
そのための体の回復に栄養素が重要だったり、出産してから母乳育児をされる場合は、赤ちゃんの健やかな成長のためにも必要な栄養を補給していかなければいけません。
つまり、産後の体の回復、肥立ちをサポートするためにもバランスの良い栄養補給が必要ですし、それに加えて赤ちゃんを母乳で育てるためにも同じくバランスの良い栄養補給が重要となってくるのです。
産後の慣れない育児生活の中で、ご自身の食事がおろそかになってしまう事はよくあることなのですが、それは決して良いことではありません。
産後の肥立ちが遅れたり、赤ちゃんの栄養状態の悪化につながってしまいかねません。
栄養バランスを整えるコツ【産後の食事の基本】
産後は疲労回復と母乳づくりを両立するために、5大栄養素をバランス良く摂ることが大切です。
- 炭水化物:エネルギー源。白米より雑穀米や全粒パンが◎
- たんぱく質:筋肉や血液を作る。豆腐・魚・卵を中心に
- ビタミン:代謝を助ける。野菜・果物を毎食少しずつ
- ミネラル:骨や神経を守る。小魚・海藻類・乳製品を意識
- 脂質:ホルモンや母乳のもと。良質な油(オリーブ・えごま油)を活用
特に鉄分・カルシウム・葉酸は産後ママが不足しやすい栄養素。 鉄分豊富なレバーやひじき、カルシウムを含む牛乳や小魚などを毎日の食事に取り入れましょう。
時間がない日は、栄養補助スムージーやプロテインバーなども賢く活用してOKです。
産後はどんな栄養を意識すれば良い?
産後の栄養補給では、必要なものをピンポイントでガツガツ摂取していくと言うよりは、複数ある様々な栄養素をバランスよく補給していく方向で考えるのが好ましいです。
そうすることによって、栄養素同士の相乗効果なども期待でき、単発で栄養素を摂取するよりも、高い効果やメリットが期待できます。
それでは、どんな栄養を補給していくことが大切なのか見ていきましょう。
カルシウム
牛乳などの乳製品、白子などの小魚、豆腐などの大豆食品、小松菜、青梗菜などの青菜類など、様々な身近な食品に含まれているカルシウムですが、授乳中は毎日650ミリグラムの摂取が推奨されています。
カルシウムを摂取することで、骨、歯の形成をサポートするだけでなく、お母さんの体の生理機能を整えたり、メンタルコントロール効果もあることから、心の安定にもつながります。
鉄分
ほうれん草、小松菜、ひじき、あさり、マグロ、レバーなどの食材にたくさん含まれている栄養素です。
なお、鉄分には動物性の食品から摂取できる「ヘム鉄」、植物性の食品から摂取できる「非ヘム鉄」があります。
どちらも重要でありバランスよく摂取することが大切です。
推奨されている1日の摂取量は6ミリグラムから6.5ミリグラム程度です。
ビタミンB1、ビタミンB2
ビタミンB1は、大豆食品や、玄米、豚肉、魚などにたくさん含まれています。
一方ビタミンB2は魚介類や肉類にたくさん含まれており、その他にも牛乳、モロヘイヤ、まいたけ、卵など、身近な食材にたくさん含まれています。
推奨されている摂取量の目安は、どちらも1.2ミリグラム程度です。
タンパク質
主に肉類、そして魚類、大豆食品、乳製品などにたくさん含まれています。
なお、肉類から摂取する際は、ヘビーなメニューになりすぎないように注意してくださいね。
推奨されている摂取量の目安は、1日あたり50グラム程度です。
ビタミンC
柑橘系の果物を始め、パプリカ、ブロッコリーなどの野菜にもたくさん含まれています。
なお、ビタミンCは鉄分やタンパク質と一緒に摂取することで体内の吸収率が高まります。
ちなみに、ストレスコントロール効果や風邪予防などにも効果が期待できます。
1日の摂取量の目安は大体100ミリグラム程度です。
ビタミンA
こちらはビタミンAに分類される栄養素なのですが、モロヘイヤ、にんじん、かぼちゃなどの緑黄色野菜にたくさん含まれています。
なお、肉類などからもこちらは摂取できるのですが、動物性から摂取するビタミンAの場合は、過剰摂取をすると赤ちゃんへの悪影響につながる恐れがあります。
とは言え、植物性からも動物性からも、どちらも重要となりますので、適度に摂取することが大切です。
葉酸
葉酸は妊娠中に積極的に摂取するように心がけていた方も少なくないと思いますが、産後も母乳を通して赤ちゃんに送り届けなければいけませんので、積極的に摂取することが大切です。
主に納豆、ブロッコリー、ほうれん草などにたくさん含まれています。
忙しい中でバランスの良い栄養補給を簡単にこなすコツ
産後の育児生活では、栄養バランスを考えて食事を用意し続けるのは簡単なことではありません。
とは言え、産後も元気なままであり続けるためにも、赤ちゃんに必要な栄養をしっかりと与えていくためにも、バランスの良い栄養補給は必要不可欠になります。
忙しい中でも栄養のことを考えた食事を徹底して行うためには、いったいどうしたら良いのでしょうか?
作り置きできるものを大量に作って保存する
例えば、具だくさんの野菜スープだったり、カレーだったり、いろんな食材をいっぺんに補給できる料理ってたくさんありますよね。
そういったものをたくさん作って作り置きしておきます。
ネットスーパーを活用
バランスの良い栄養補給ができる食事がなかなか実践できない原因の1つに、買い物に行っている余裕や時間がない。
という問題があるかと思います。
ネットスーパーであれば、いちど登録してしまえば、後はスマホで食材を購入することができちゃいます。
後は配達員の方がお家まで届けてくれますので、重たいものを運ぶ必要もありませんし、店内をぐるぐる歩きまわる必要もありません。
産褥期の方でも賢く買い物ができちゃいます。
宅配弁当を活用
毎日3食何ヶ月も宅配弁当にしてしまうと、それはさすがに食費が大きくかさんでしまいますので、「今日はどうにもならない」「産褥期の間だけでも」と言ったように、臨機応変にこういったサービスを活用するのも1つの手段です。
こういったものであれば、1回の食事あたり400円から700円程度で済みます。
産後の栄養管理がしっかりとされているものもあります。
なので、この手段であればあなたは何も考えず、何もせずお金を払うだけで摂取するべき栄養を補給することができます。
サプリメントを活用
普段の食事では到底必要な栄養が補給できなそう。
と言う方は、サプリメントをフル活用するのも効果的です。
中には授乳中の方は控えるように。と言う注意書きがあるサプリもありますが、産後ママのためのサプリもありますので、そういったものを選べば安心していろんな栄養を補給することができます。
産後の栄養補給の注意点
産後の栄養補給で間違ってはいけないのが、1つの栄養素に執着してはいけないと言うことです。
ここではいくつかの栄養素をご紹介しましたが、このうちの1つや2つをがっつり摂取していれば大丈夫。と言うものでもなく、それぞれをバランスよく補給していくことが大切です。
そこだけ間違えてしまわないように気をつけてくださいね。
ご自身の栄養管理もママとしての立派な仕事

特に授乳中の方であれば、ママの摂取する栄養が直接赤ちゃんに影響してきます。
だからこそ、ママ自身の普段の食事も育児も仕事の一環として非常に重要な要素となります。
また、母乳育児をしていない方でも、ママの心と体が健康でなければ100%の愛情を赤ちゃんに向けるのは難しくなってしまいますよね。
その心と体の健康の基礎となってくるのが普段の食事で取れる栄養素です。
普段の栄養管理も立派な子育ての一環ですので、今まで食事がおろそかになっていたと言う方は、ここで一度方向性を見直してみてはいかがでしょうか?
よくある質問(Q&A)
- Q1:授乳中に甘いものを食べても大丈夫?
- A:適量なら問題ありません。血糖値を急上昇させないよう、果物や和菓子などを選びましょう。
- Q2:母乳のために特別なサプリは必要?
- A:基本は食事で十分ですが、鉄・カルシウム・DHA・葉酸などを補うサプリを医師の指導のもとで取り入れても◎。
- Q3:食事時間が不規則で偏りが気になります…
- A:1食で完璧を目指すより、1日トータルでバランスを取る意識でOK。小分け食事やおにぎり常備もおすすめです。
- Q4:母乳が出にくいときは食べ物で改善できる?
- A:体を冷やさない温かい汁物やたんぱく質中心の食事が効果的。 特に味噌汁や野菜スープは体を温めて母乳分泌を助けます。
- Q5:カフェインはどこまでOK?
- A:カフェインは1日200mgまでが目安です(コーヒー約2杯分)。 カフェインレスコーヒーや麦茶に置き換えると安心です。
実際に食生活を見直したママたちの体験談
- 「鉄分を意識したら体がラクに!」
「産後2週間で貧血気味に。レバーや小松菜を意識して食べたら、フラつきが減って元気に!」(30代・初産ママ) - 「スープ中心で栄養バランスを整えた」
「調理時間を短くするため、具だくさん味噌汁やスープで栄養をまとめ取り。冷凍野菜も活用して続けられました。」(20代・共働きママ) - 「おやつを“間食栄養タイム”に」
「甘い物を我慢するより、ナッツやヨーグルトを選ぶように。気持ちも安定して母乳の出も良くなった気がします。」(40代・2児ママ)
どのママも共通しているのは、「無理せず続けられる工夫」を取り入れていること。 頑張りすぎず、ママ自身の体をいたわる食生活が、元気な育児の第一歩になります。
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